出版社のカドカワは2016年4月6日、学校法人角川ドワンゴ学園の「N高等学校」(N高)の入学式を開催した。学校長は沖縄県うるま市の本校舎にいて、全国の生徒はネットで式に参加した。イベント施設のニコファーレ(東京都港区)にも入学式場が設けられ、生徒73人と保護者が足を運んだ。通信制高校ながら任意で着られる制服もあり、多くの生徒が制服姿で式に臨んだ。
沖縄会場の模様はインターネットで東京会場に同時中継された。壁4面に設置されたLEDパネルには、校長の様子だけでなくネット参加の生徒のコメントがリアルタイムで投影され、式を盛り上げた。
東京会場の参列者にはモバイルブランドGalaxyのゴーグル型HMD(ヘッド マウントディスプレイ)「Gear VR」が1台ずつ渡された。着けると沖縄本校の様子が目に飛び込んでくる。中継された映像は校旗掲揚、学校長式辞、うるま市副市長と地元自治会長の各祝辞。Gear VRを装着した生徒は沖縄に瞬間移動した気分になったのだろうか、首を左右上下に動かしながら「おーハンパない」「くるくる!」と興奮の声を上げた。
注目は「プロフェッショナル課外授業」
N高は今年度に誕生した単位制・広域通信制高等学校だ。インターネット学習をうたう他の通信制高校と同様、(1)3年以上在籍、(2)74単位以上を取得、(3)必履修科目を全て履修、(4)特別活動を必要時間数受講――しなければ卒業できない。(2)と(3)の映像授業は東京書籍の教科書授業インターネット講座を利用する。(4)は沖縄の本校舎をはじめ全国12か所の会場で受講できる。
同校は「ネット通信」と「提携通学」の2つのコースに分かれている。カドカワの広報担当者によると生徒のほとんどはネット通信で、4月時点の新入生は約1500人、男女比は半々だという。
創立前から注目を集めているのが、プロフェッショナルによる課外授業と、文化祭や部活動に相当するイベントだ。
- dwango×プログラミング授業
- KADOKAWA×文芸小説創作授業
- 電撃×エンタメ授業
- Vantan×クリエイティブ授業
- 実力派予備校講師による大学進学授業
- 地方自治体×職業体験
- お祭り系イベントへの参加
課外授業は、ドワンゴで働く現役のクリエイターやプログラマーからプログラミングなどの基礎を学べたり、作家や編集者から小説の書き方を学べたり、ライトノベルやエンタメノベルの作家の話を聞けたり、実力派予備校講師の授業を受けられたりできる。
これらの授業は生放送で行われる。講師の一方的な流れにならないよう、「挙手ボタン」「質問スイッチ」「コメント機能」「なるほどボタン」が装備されている。教材はスマホに最適化されたアプリで、盛り込まれた問題は自動で正解/不正解が記録される。分からない点はチャットや画像投稿で仲間や講師に質問可能だ。
リアル体験もユニーク。職業体験(インターンシップ)は酪農や雛人形作り、イカ釣り漁業、刀鍛冶などのメニューがそろう。「ニコニコ超会議」では生徒同士が出し物企画を考えて、実行することができる。
新入学・編入学の入学月は、4月、7月、10月、1月の年4回。他校からの転入学は随時受け付けている(一部例外あり)。