教師の資質
学校は常々厳しい批判にさらされている。いじめ自殺などニュースには事欠かず、プライバシー配慮で縛られ釈明もままならぬ学校側の事情を酌むこともなく、報道はともすれば過熱し、一方的なバッシングを引き起こす。
だが、大村先生のように自らを厳しく律して使命を貫徹する教師は、今も数多くいるに違いない。知られていないだけだ。病理を抉るのがマスコミの仕事であり、物事が上手くいっている限り報道はない。報道されない事実は「世論」には表れない。
評者は過去、「仮に全世界で『良い教師コンテスト』を開けば、日本の教師がグランプリを獲る」と夢想していたが、本書でその想像は確信に変わっている。だが同時に、「悪い教師コンテスト」を開いた場合の最悪の結果も、残念ながら連想する。教師の資質向上策と不適格者排除の実態はどうか。心許なく思うのは評者のみではあるまい。