「夢の超特急」といわれた東海道新幹線がスタートしたのは1964年、東京オリンピック開催の年だった。あれから半世紀、3月26日(2016年)に北海道新幹線が開業した。東京から新函館北斗まで最速4時間2分で結ぶ。観光に、ビジネスに地元は盛り上がっているが、どこまで期待できるのか。北海道新幹線だけでなく、将来の新幹線を占う。
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新幹線の過去・現在・未来は
北海道新幹線は整備新幹線計画決定から43年を経て開業した。これによって東海道新幹線(東京―新大阪)から山陽、東北、上越、山形、秋田、北陸、九州新幹線まで列島がつながった。新幹線はどのような経緯で建設されたのか。北海道新幹線が挑む史上初の難題とは。今後の新幹線の課題は何か――。
『最新 新幹線事情: 歴史、技術、サービス、そして未来』(著・梅原淳、886円、平凡社)は新幹線の過去・現在・未来を展望し、技術やサービスまで網羅する。
第1章から第6章までに新幹線の不思議や疑問にこたえ、興味深いエピソードもあちこちに散りばめている。「新函館北斗駅はなぜ函館市内に開設されなかったのか」「スピードはどこまで上げられるのか」「運賃、料金は下げられないのか」「奇妙? 3人がけと2人がけという配慮」「中央新幹線開業後の東海道新幹線は」などなど。鉄道ファンならずとも得して面白い本だ。
北海道の観光・歴史と詳細データ
北海道新幹線といっても、今回開業したのは北斗市の新函館北斗駅まで。札幌までは15年先の2030年度末の予定だ。『北海道新幹線パーフェクトブック』(1512円、双葉社)は札幌開業を視野に豊富なカラー写真やデータで北海道新幹線の魅力を伝える。
路線、車両、ダイヤ、駅、乗車券など必須の資料と北海道の豊かな観光と歴史を存分に掲載。新幹線用車両のE5系とH5系を綺麗なグラビアで紹介し、平行在来線の江差線や道南いさりび鉄道も載せ、3月のダイヤ改正で廃止される485系「白鳥」についても触れている。
巻頭特集は道内出身のミュージシャン「車掌DJ」といわれる音楽ユニットSUPER BELL"Zの 野月貴弘氏が開業直前を徹底レポートしている。
鉄道の音を楽しむ「音鉄」を提案
鉄道には様々な魅力があり、様々なファンがいる。『音鉄 - 耳で楽しむ鉄道の世界』(著・片倉佳史、1728円、ワニブックス)は、そのタイトルの通り、鉄道にまつわる音を楽しむ「音鉄」の入門書である。
たとえば、駅メロディ。「鉄道唱歌」「お猿のかごや」「線路は続くよどこまでも」など誰もがよく知る、列車が発車するのを知らせるメロディのこと。車掌の車内放送もその一つ。名調子や国訛りの面白さがある。蒸気機関車の汽笛や踏切の警報音は映画のシーンでもよく登場する。ことほど左様、実に様々な音がある。
著者は「鉄道は常に何かしらの音とともにあり、音の中に存在しているとも言えます。私はこれをトレイン・サウンドスケープ(鉄道音風景)と名付けてみました」と語る。台湾在住の作家で、耳で聞く鉄道の面白さを広めくべく、録音機材を片手に日本をはじめ世界各地を巡っている。鉄道趣味の新しいスタイルだ。