三菱電機は2016年3月4日、ルームエアコンの最新機種「FZシリーズ」のブランド体験会を東京都内で開催した。
1967年に誕生した「霧ヶ峰」は、ルームエアコン業界で壁掛けのための薄型軽量化や省エネのためのセンサー搭載など、業界をリードする商品を続々と世に送り出した実績を持つ。
そんな老舗ブランドが7年の歳月をかけ開発、2015年10月に発売した次世代エアコン――それがFZシリーズだ。既存技術は頭打ちといわれる中、機能と省エネをともに向上させた。体験会では製品のパーツを取りだす"解体ショー"を実施。内部の構造を公開することで、霧ヶ峰ブランドが常に進化を続けていることを知ってもらおうという狙いがある。
ファンの形状を「筒」から「プロペラ」に。しかも2つ!
FZシリーズの最大の特徴は、左右が独立して駆動する「パーソナルツインフロー」だ。同社によると、ルームエアコン室内機では世界初の新型ファンだという。
エアコンの送風装置は一般に「ラインフローファン」と呼ばれる筒型のファンが採用されている。実はラインフローファンよりプロペラファンの方が効率がよく、少ない消費電力で風を発生させることができる。しかし約半世紀前に壁掛けエアコンが開発されたときは、薄型化に有利なラインフローファンが採用され、その後のスタンダードになっていた。
クロストークに登壇した三菱電機の静岡製作所ルームエアコン技術第一課課長の吉川浩司さんによると、ラインフローファンで50年間も技術を磨き上げた組織にとって、プロペラファンの採用は大きな決断で、開発着手後も様々な壁にぶつかったそうだ。
「代表的なところでいいますと、音とか振動。あとはファンモーターの小型化、気流です。風を大きくすると音が大きくなってしまう。また振動対策を行うとプロペラファンの効率が落ちてしまう。品質の作り込みと効率の取り合い――こうした点に非常に苦労しました」(吉川さん)