遺伝子組み換え作物は危険なのか? 誤解と偏見に満ちた情報拡散

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映画キャンペーンなどで誤情報が拡散?

   遺伝子組み換え作物による健康への悪影響をめぐっての懸念は、これまで一部の反対派の市民団体などから提起されてきた経緯がある。最近の傾向は、ソーシャルメディアや映画・DVDのキャンペーンなどを通じて、科学的根拠のない、誤っているとみられる情報が拡散していることだ。

   とはいえ、すでに多くの消費者が口にしているのにも関わらず、国内では健康への悪影響が報告されたケースはこれまで存在しない。

   農業生物資源研究所の田部井氏によると、遺伝子組み換え作物は、生物多様性への影響については「カルタヘナ法」の承認を獲得し、食品や資料としての安全性は「食品衛生法」と「飼料安全法」に基づき、その安全性が確認されたものだけが市場に流通している。「これまで遺伝子組み換え作物やその食品の安全性を疑問視する情報もありましたが、後に根拠がないとして撤回されるなどし、科学的な検証を経て問題があるとされた事例はありません」と、安全性に問題はないと言い切る。だからこそ海外から輸入され、消費されているのだが、国内栽培については行政も「及び腰」なのだ。

   消費者の立場に立つ、主婦連合会の有田良子会長は、「漠然としたと不安があることは確か。その原因は、遺伝子組み換え作物の現状について、正確な情報が伝わっていないことだと思います」と話し、情報開示や表示、また多様な観点からのコミュニケーションの必要性を求めた。

   今回のシンポジウムを主催した経済学者でブロガー、アゴラ研究所の池田信夫所長は、「遺伝子組み換え作物は、日本の農業にとって避けては通れない課題。そのためには、まず消費者は健康被害や大企業陰謀論などの根拠のない情報には惑わされず、誤った情報への「免疫」をつけること。また、表示についてはきちんと義務付けて、それでもイヤな人のためには『買わない選択』をできるようにすればいい。一方、生産者は、高齢化対応やTPP合意で世界と戦う必要が今後増えるのだから、いま積極的に生産性を高める努力をしないと日本の農業は本当にダメになる」と指摘した。

   なお会場では、遺伝子組み換え作物に関する誤った情報の実態などをわかりやすく解説した「誤解だらけの遺伝子組み換え作物」(毎日新聞編集委員・小島正美著)が紹介された。

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