戦中の地図から抹消されていた「うさぎ島」 悲惨体験した住民の証言集め"歴史の空白"埋めた医師

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   戦前・戦中の瀬戸内海で、陸軍の毒ガス工場が秘密裏に稼働していた。場所は広島県竹原市の大久野島(おおくのしま)、機密保持のため地図上から抹消されていた島という。

   「一人ひとりの大久野島 毒ガス工場からの証言」(行武正刀編著)は、同島の工場に勤務し、毒ガスに曝露して健康被害にあった方々の証言集である。

  • 一人ひとりの大久野島 毒ガス工場からの証言
    一人ひとりの大久野島 毒ガス工場からの証言
  • 一人ひとりの大久野島 毒ガス工場からの証言

国会議員の示唆

   瀬戸内海国立公園内にある大久野島は、戦後、島全体を国民休暇村として宿泊施設等が整備された。いつの頃からか野生化したアナウサギが多数生息することで有名となり、ナショナル・ジオグラフィックから「うさぎ島」なる写真集も刊行されている。

   こののどかな島に悲惨な歴史があったことを、評者は某国会議員の御指導によって知り、不明を恥じて本書を購入した。

   「口利き」を防止するため国会議員と行政官の接触禁止を論じる向きもあるが、選挙区をつぶさに見る議員からの示唆は、とかく世間知らずとされる霞が関にとって有益なことが多いと評者は思う。

【霞ヶ関官僚が読む本】現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で「本や資料をどう読むか」「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

姉妹サイト