この世界の支配者は猫なんだよ
人間と猿との関係が逆転したSF小説『猿の惑星』は映画でもよく知られているが、『猫の惑星』(著・梶尾真治、1620円、PHP研究所)は、猫と人間の世界を描いた冒険ファンタジー小説である。「この世界の本当の支配者は猫なんだよ。人間はまったく気づいていないけれど」というわけだ。
思春期を迎える前の子供だけが、超能力を持つことができる近未来。少年の1人イクオは、自分と会話できる猫ウリと出会い、恐ろしい秘密を聞かされる。この世界のどこかにいる「猫の王」に会いたいというウリとともに脱走を決意する。世界を初めて見るイクオの前に次々と事実が明らかになる。追手たちとの戦いや新しい出会い。そして、思わぬ事態が訪れる――。
著者の梶尾さんは1971年、『美亜へ贈る真珠』でデビューし、91年の『サラマンダー殲滅』で日本SF大賞を受賞している。