"渦中の"あの人もこの人も...人格形成への投資が疎かになっていないか その場しのぎにとらわれがちな日々の生活を見直す

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私的成功に関する所感...他者との良好な関係、所属組織活性化の原点

   そもそも自身の内面を成熟させず、他者と良好な関係を築くことができないという考えに私も同感である。個人としての充足感、自信を得て、安定した人格があってこそ、初めて他者の個性を「素直に認める」ことができると考える。自身の内面が安定していない状態で人間関係を築こうとすると、相手との比較や考え方の違いから生じる嫌悪感、嫉妬、はたまた優越感や劣等感など、円滑な関係の障壁となるネガティブな感情が生まれるものであるし、信頼関係のない表面的な関係になってしまうのではないだろうか。

   自分自身のマネジメントに関しては、例えば、新年になると、1年の目標として、毎日早起きする、定期的に運動する、読書に励む、語学を習得する、人間関係を大切にする、新しい趣味を見つけるなどの目標を立てると思うが、これらは全て、緊急度は高くないが重要度が高いものであることに気づく。こういった活動に時間を割けるようになるには、断るべきものは断る、活動を誰かに任せるといった選択肢がある。自分にとっての優先度が決まっていれば、緊急度も重要度も高くないと思われる活動には、笑顔で明るくはっきりと断ることができるようになる。このようなサッパリした断り方だと人間関係に後腐れもなくなるものである。さらに、特に仕事では、自身のマネジメントの観点からも人に任せることは重要である。個人にはキャパがあることに気づかず一人で抱え込みすぎると、自分の時間が奪われ、疲弊してしまい、組織としての仕事もまわらなくなって迷惑がかかる。また、周りも成長しないというマイナスなことばかり生じてしまう。私自身、これで失敗した苦い経験が何度もある。仕事を任せる瞬間は手間かもしれないが、やはり長期的に見ると、任された方は成長するし、組織全体として活性化する。自分も別の仕事に時間を使えるようになる。これを認識していないがゆえに、一スタッフとしては有能だったが、マネジメント職になったとたんにパフォーマンスが落ちるというケースはよく話に聞く。相手を信頼して任せられる仕事は任せてしまうこと、これは個人及び組織のマネジメントのために、身につけるべきものであると考える。

【霞ヶ関官僚が読む本】現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で「本や資料をどう読むか」「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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