「延岡といえば山の中も山の中もたいへんな山の中だ」
夏目漱石が名作「坊ちゃん」の中でそう書いてから今に至るまで約100年、宮崎県延岡市はその交通の便の悪さから「陸の孤島」と揶揄されてきた。そんな延岡市が最近、残念なレッテルを挽回しようと躍起になっている。
延岡市がこのほど市の魅力を外に向けて発信する"エージェント"として起用したのは、人類ではなくUMA(未確認生物)だ。本物の市職員と、UMAの「河童&人魚」のカップルがシュールなやり取りを繰り広げるPR動画12本をネットで公開している。
高速道路開通でもう「陸の孤島」とは言わせない
宮崎県を含む九州の東側では東九州自動車道(福岡県北九州市から大分県、宮崎県、鹿児島県を結ぶ高速道路)の建設が進められており、延岡市をめぐっては2012年に北部の須美江との間が開通。その後14年3月に「延岡―宮崎」間、15年3月に「大分―延岡」間が開通し「陸の孤島」を脱しつつある。
PR動画は、「延岡市の五ヶ瀬川(延岡から日向灘にそそぐ一級河川)沿いで市民出演の自治体PR映像を撮影中、川の対岸に河童と人魚が写りこんでいた」というスクープ映像から始まる。基本的なストーリーは、後日、延岡市役所を訪れた河童と人魚に、実在する市職員の伊藤さん、牧瀬さんが延岡の魅力をPRするというもの。2人の職員は、河童と人魚のUMAカップルに延岡に移住してもらい、市の広告塔になってもらおうと必死だ。