パナソニックの「プライベート・ビエラ」(T5シリーズ)は、ワイヤレスで手軽に持ち運べるHDD録画付き防水小型テレビだ。10v型・15v型の2サイズがあり、持ち運べるモニターは防水仕様となっていて、浴室でのテレビ視聴が楽しめる。
2015年11月26日から同社は、「日本全国プライベート・ビエラ」スペシャルサイトを公開している。公開後2週間で動画の総再生回数は70万回を超え、16年2月9日現在で491万回に達している。サイトにアクセスするたびに新たな発見がある内容とはいえ、1つの家電商品でこれほどの再生回数を稼いだのは驚くべきこと。同社コミュニケーション部・プランニング課で商品のプロモーション全般を担当している美濃部愛理さんに、プロモーション成功の秘密について話を聞いた。
コンテンツ作りは大変だったが、効果は期待以上
――スペシャルサイトを拝見しました。1つの商品のプロモーションにしては大変なボリュームですね。収録は1日で終りましたか。
「撮影は丸2日間、時間にして全カット併せると40時間超でした。通常のCM撮影は大きなベースを1つ考えればいいところ、今回はその47倍です。テレビCMだけでなく、ウェブや店頭で流すオリジナル動画も制作したので、ものすごい量と時間に。ゆるキャラや綾瀬さんをはじめ、関係者はみな体力勝負で頑張っていただきました」
――47倍ということは......全都道府県のテレビCMや動画を用意したのですか!?
「今回のプロモーションは地域ごとに異なるテレビCMを制作しました。関東・関西・中京地区はいくつかの番組に絞って放映し、他のエリアは県ごとにCMを年末に集中して流しました。視聴者は『これはなんだ!?』と感じ、話題になるとウェブで検索を始めます。スペシャルサイトに行くとウェブ限定のコンテンツや商品情報が見られます。そこで興味を持った方が販売店に足を運ぶと同じメッセージが店頭にある――。一気通貫なメッセージ性がお客さんに響いたと、手応えを感じています」
――スペシャル動画の総再生回数は衰えずに伸びているようですが、その理由をどのように分析されていますか。
「コンテンツの種類の多さやテレビCM、ウェブ動画を打ったというのもありますが、CMに出演したキャラクターたちが自身のツイッターやフェイスブックで情報発信し、それが拡散して、伸びの山を少しずつ作れています。1回でどーんと花火が上がったというよりも、徐々にいろんなネタを散りばめることで、安定的な再生回数ができていると考えます」
ご当地キャラと地元有名人の混成チームは大正解
――ご当地キャラクターとご当地有名人の混成にしたのはなぜですか。
「日本人の郷土愛をくすぐる施策ができたらと考えました。食べ物や方言など、ご当地性を語るテーマはいろいろあります。キャラクターと人物の混成にした理由は、知る人ぞ知る有名人を入れたら効果が出ると思ったからです。各地域にヒアリングをした上で、ご当地アイドルや地方で活躍するタレントの方にも加わってもらいました」
――ご当地有名人やキャラの発信力に驚かれたことはありますか?
「福岡県の『ふくおか官兵衛Girls』や山口県の『山口活性学園』に販売店のイベントに出演いただいたとき、彼女たちのファンがツイッターやブログでイベント告知を拡散してくれました。鹿児島県の『イーサキング』や愛媛県の『バリィさん』は、店頭のイベント出演時に『持ち運びができる』という写真を何枚も撮り、それをSNSにアップしてくれたのです。『自分たちは今ここにいる』と告知すると、それを見て店頭に来てくれた方が多くて。彼らの発信力の大きさを感じました」
「島根県の『どじょうすくい女将』の小幡美香さんは旅館経営者で、いろんなつながりがある方です。地元の女将会で告知してくださったり、お客様向けのサイトで告知してもらったり。旅館利用者が『このCMを見た』と言ったら、宿泊特典とかも付けてくださって。キャラクターやご当地有名人、それぞれの異なった拡散力を生み出していただけたことに驚きました」
――出演者のアドリブやアイデアが取り入れたこともあるのですか。
「CM中に綾瀬さんが水中に美しく(?)プライベート・ビエラを突っ込むその瞬間を、ご当地出演者が目撃して驚くシーンがあります。驚きの表現はわれわれも用意していました。ところが撮影が始まると『私の地方では実際にこういう言い方をします』と出演者がアドバイスしてくださることが多くて。そういった部分を現場の皆で一緒に作っていった背景があります」
――今回出てきた出演者の中でお気に入りを3つ挙げていただけますか。その理由も教えてください。
「1つ目は茨城県の『ねば~る君』。普段の彼は低姿勢なんですけど、フレームアウトするくらい背が伸びる瞬間があって、実際に見ると迫力満点。想像していたよりも伸びが高く、スピードも早くてビックリしました! その姿は持ち運び編で見られます。結構レアな映像です」
「2つ目は北海道の『メロン熊』。とてもインパクトのあるキャラクターです。注目はお風呂編。メロン熊は自分の個性を言葉なくして出していたのが面白くて。横に座っているエキストラを噛む大胆な演技が見どころです」
「3つ目は青森県の『りんご娘』です。お風呂編で彼女たちが『わいはー』と言うシーンがありまして、ご当地の方言で『あらまー』という意味だそう。それがすごくカワイイ」
「いま挙げた驚きの表現は耳を凝らさないと聞こえないかもしれませんが、地元の方にとっては身近に感じられると思います。目立っている出演者の周りの反応も見てほしいですね。面白いエキストラもいるので。何回見ていただいても新しい発見があると思います」
「指名買いが増えた」と現場からも好反応
――キャンペーン実施後、目立って売り上げが伸びた地域はありますか。
「おかげさまで全体的に売り上げは伸長していますが、前年に比べるととくに東北と北海道がすごく上がりました。CMや動画の効果だけではなく、営業の現場の努力があってこそですが、アクセスが伸びているところは売り上げが好調です」
――美濃部さんに届いた現場からの声で、心に残るエピソードを教えてください。
「年末商戦の時期は売りたい商品が各社あるじゃないですか。そんな状況の中で消費者に認知してもらうことができました。"CMでやっている防水テレビ"ではなく『プライベート・ビエラが欲しい』という指名買いが多かったのです。私たちプロモーションを作る側としても嬉しいことです」
――綾瀬はるかさんの現場での様子や反応はいかがでしたか。
「プライベート・ビエラのCMに綾瀬はるかさんが登場したのは2014年からです。いつものCMでは『素』な綾瀬さんを押し出していますが、今回の綾瀬さんの役どころは海外のテレビショッピング風の設定で商品デモンストレーターを演じる設定です。押しが強くて、少し大人っぽく、セクシーさも入れたインパクトのある演技をお願いしました。その要望を想像以上に叶えてくれて。思ったよりも本人がすごくノリノリで、新たな綾瀬さんの魅力が伝わる内容になったかと思います」
「テレビのパナソニック」ならではのこだわり
――ここからは製品に関する質問です。プライベート・ビエラの特徴を教えてください。
「防水を表すのに『IPX』という規格がありまして、プライベート・ビエラはIPX6/7相当を取得しています。湯船に沈んでもすぐにあげてもらえば問題ない防水性があります。耐久テストをしっかり行っているので、安心してご利用いただけます」
「HDDレコーダー部とモニター部には2本ずつ無線用高感度アンテナが内蔵されているので、家じゅう好きなお部屋にモニター部を持ち運んで番組をお楽しみいただけます。家の構造にもよるので一概には言えませんが、Wi-Fi性能は毎年改良しています」
「初代からの進化点としては、『スマホ視聴』もできるようになりました。当社の無料アプリ『Media Access(メディアアクセス)』をダウンロードしてもらうと、プライベート・ビエラのハードディスクに録りためたものが、外でもスマホで見られます」
「あとはプライベート・ビエラで録画した番組をmicroSDカードに入れると、モニター部分だけを外に持ち出すことができます。例えば車の移動中に後部座席でお子さんと一緒に見たり。バッテリーは最高3時間30分もちます」
「個人的に活用しているのが、オンタイマーとオフタイマーの機能です。キッチン用のタイマーとして利用したり、目覚まし時計代わり利用したり」
――競合商品との差別化ポイントを教えてください。
「他社の製品はアプリやネット、タブレット寄りの性能を重視されているのに対して、われわれはテレビの部分にこだわっています。画質の良さ、音の聞こえやすさ、HDDやチューナー数を重視しているので、そういった部分ではオンリーワンな商品かなと」
――デザイン面で工夫したところはありますか。
「女性やお子様が手軽に1人でも持てるよう、モニターは薄く、重量は軽くしました。脇に抱えてサクサク持ち歩けるイメージを大切にしています。モニターの角度を4段階で変えられるチルドは、2015年発売のタイプから採用しています。お風呂で半身浴をしながら見たい人、手元で見たい人など......それぞれの使い方に応じて角度を変えられます」
――このプロモーションを自己採点するなら何点ぐらいでしょう。
「これだけの出演者を集められたことについては100点を付けたいところですが、店頭で活用しきれなかったキャラクターもあるので、トータルでは98点くらいでしょうか」
「チームみんなで盛り上がり、会社全体で盛り上がることができました。この勢いでもっといいプロモーションやチームワークが成し遂げられるような気がしています」
プライベート・ビエラのスペシャルサイト「PRIVATE VIERA SHOW!」はこちら
<企画編集:J-CAST トレンド編集部>