暦的には大寒を過ぎましたが、寒い日々がつづいています。冬至は12月ですから日は長くなりつつあるのですが、日本では最も気温が下がるのは、1月下旬から2月にかけてですね。
寒さを感じるこの時期に、極北の鳥たちの声を聴ける曲、「カントゥス・アルティクス」をご紹介しましょう。
冬の2か月間、太陽は沈んだまま
作曲者は、エイノユハニ・ラウタヴァーラです。北欧フィンランドはヘルシンキの出身です。ヨーロッパの国々は、日本と比べるとずいぶんと北のほうにある国ばかりなのですが、先週のカリンニコフのロシアと並んで、文字通り北の国、と形容できるのが北欧3国です。中でも、フィンランドは、国土の一部が北極圏に入っています。夏のシーズンには1日中太陽が沈まない白夜があったりしますが、逆に冬は、1日中太陽が昇らない日もあるわけです。極夜、というそうです。もちろん白夜と極夜があるのはフィンランドでも北のほう、北極圏に入っているところのみですが、その地域では、冬の2か月間、太陽を拝むことができないわけです。もっとも太陽自体が地平線の下にあっても、空は明るくなり、周囲は雪による白銀の世界ですから、思ったよりは明るくなるそうです。
そんな、北国のフィンランドの作曲家といえば、一番有名なのが「フィンランディア序曲」などを書いたシベリウス(1865~1957)です。1928年生まれのラウタヴァーラは、彼の名を冠した首都の音楽院で音楽学と作曲を学び、そのあと、アメリカとドイツのケルンでも勉強をつづけました。