沖縄経済の未来
度重なる沖縄財界の要請にも関わらず、本土政府は沖縄での石油精製や大規模工場建設を阻んできたという。自国資本重視という戦略の故らしいが、見方を変えれば酷な話だ。だがそれが沖縄の風土自然を守り、結果的に現在の観光資源を維持した。糾える縄の如き歴史の皮肉である。
訊くところによれば、沖縄は有事にアジア圏大都市に展開しやすいが故に、戦略的要衝として重要なのだそうだ。それが米軍駐留の大義とすれば、平時には、沖縄こそがアジアのハブとなる資格を有していることになる。この点、いち早く物流基地を構築したANAの慧眼には畏れ入る。那覇空港第二滑走路や那覇港湾施設整備に評者が着目する所以である。
戦後沖縄の歩みは苦難の連続であり、それは今なお続いている。そうした多くの逆境が、観光資源の維持や物流ハブの構築といった形で自立経済発展の礎に収斂していくならば、なお救いはある。
少しでも多くの米軍基地が返還され、県民の安全が確保されて沖縄経済が持続的に発展していくことを切に願う次第である。
酔漢(経済官庁・Ⅰ種)