フランスに「イスラム政権」ができる? 衝撃の近未来小説『服従』は絵空事ではない!

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「なかなかショッキング」「読後感は複雑」

   『服従』はフランスでの発売後、すぐにイギリス、ドイツ、イタリア、クロアチアなど各国で次々と翻訳されてベストセラーに。日本では9月11日、河出書房新社から翻訳が出た。同27日にはさっそく文芸評論家の池澤夏樹氏が毎日新聞の書評で取り上げ、「なかなかショッキング」「読後感は複雑」と感想を記した。

   さらにその後、北海道新聞、読売新聞、東京新聞、日経新聞、共同通信、朝日新聞と主要メディアで次々と紹介された。海外の小説が大手紙の書評欄を「グランドスラム」のように完全制覇するのは異例だ。

   そして追い打ちをかけるかのように11月15日には、新たに死者130名、負傷者300名以上という同時多発テロがパリで発生した。

    「小説の物語を現実が追いかけているかのような流れになった。この先、2022年までにいったい何が起きるのか予想もつかない。怖いですね」と邦訳版を担当した河出書房新社の編集者は話す。

   邦訳は現在2万5000部と海外小説にしては好調な売れ行き。1月8日現在、アマゾンの著者別外国小説売れ筋ランキング部門では5位に入っている。カフカ『変身』、ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』、カミュ『異邦人』などよりも上位にある。

   アマゾンの紹介ページでは作家の高橋源一郎氏が、揺れる心境をこうつづっている。

――読み終わって、呆然としながら、自分にこう言い聞かせなければならなかった。「これは小説であって現実ではないんだ」と。「こんなことは起こらない‥‥たぶん‥いや、もしかしたら」

   近未来の社会体制を予言的に描いた小説では、トマス・モア『ユートピア』、ジョージ・オーウェルの『1984年』などがあまりに有名だ。果たして『服従』もそうした古典的名著の一冊になるのだろうか。

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