年末に響く「第九」...実は"呪われた曲"と恐れられていた

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後世の作曲家たちを苦悩させた"名曲"

   ベートーヴェンがこの曲でいろいろな作曲上のブレイクスルーをしたおかげで、後世の作曲家たちは、さまざまな可能性を手にしたのです。と同時に、ベートーヴェンがこの曲を作ってしまったために、彼らは苦悩もすることになります。

   古典派のハイドンやモーツアルトが確立した「オーケストラによるソナタ形式の作品」である交響曲はタイトルなどを持たない絶対音楽でしたが、(のちに愛称が他人によってつけられることはありましたが)、ベートーヴェンはそれに「言葉」を持ち込んでしまったため、以降の作曲家は、ベートーヴェンの交響曲を越えるためには、より標題音楽的に物語を盛り込むか、もしくはオペラと合体したような作品を目指すかしなければならない―と考えるようになります。前者はフランスのベルリオーズの「幻想交響曲」、後者はワーグナーの「楽劇」と呼ばれる一連のオペラ作品などが代表です。純粋な交響曲で、ベートーヴェンの第九を越えられない、と畏怖する作曲家たちの気持ちから、クラシックの歴史は変化していったのです。

本田聖嗣プロフィール

私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でピルミ エ・ プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソ ロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目CDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラ マ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを 務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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