アッと驚く奇想天外の物語
歴史小説と時代小説には違いがあり、歴史小説は史実を忠実に求められるが、時代小説には架空の人物も登場するしストーリーも自在だ。『真田幸村の遺言(上)(下)』(著・鳥羽亮、各751円、祥伝社)は、読者をアッと驚かせる奇想天外の物語である。
(上)は副題に「奇謀」とあり、内容紹介には「脈々と継がれていた豊臣の血筋をつい紀州徳川家に入れることに成功した! その名は頼方。後の吉宗である。幸村の思いを胸に秘め、真田の暗闘が始まる」とうたう。目次を見れば「吉宗誕生」「真田戦士」「出府」「御成」「怪死」と展開する。(下)の副題は「覇の刺客」で「六代将軍の急を知らせる報に吉宗が動いた。江戸城で、亡き真田幸村が描いた、最後の天下分け目の戦いが始まる」と呼び掛け、目次は「風雲」「真田十七家」「尾張の乱」「絵島事件」「江戸城夏の陣」と続く。
著者の鳥羽亮氏は1990年『剣の道殺人事件』で江戸川乱歩賞を受賞。ミステリ―の一方で剣豪小説にも取り組む。学生時代に剣道に打ち込み、その経験が作品にも影響しているといわれる。