フィリップ モリス ジャパン(PMJ)は2015年12月7日、加熱式たばこ「iQOS(アイコス)」について、屋内環境で使用したときの空気中の化学的性質に関する試験結果を発表した。東京都内で行われた記者会見で同社は、「国際的な基準にもとづいたテストを行ったところ、iQOSの使用は室内の空気にほとんど影響を与えないと実証できる」と説明した。
2003年に健康増進法が施行されて以来、公共施設はもちろんのこと、オフィスや飲食店でも分煙環境の整備は進んでいる。その理由として、受動喫煙が疾病及び障害を引き起こすことは科学的に明らかとされているためだ。紙巻きたばこの燃焼温度は約800度で、このとき生成される煙に様々な有害物質が含まれている。国や地方自治体は、非喫煙者や未成年、妊婦が受動喫煙にさらされないよう、様々な施策に取り組んでいる。
紙巻きたばことどこが違う?
火を使わないiQOSは、紙巻きたばこと異なり煙が出ず、灰も生じない。「マールボロ ヒートスティック」と呼ばれる本物のたばこ葉が使われたスティックをホルダーに差し込み、電気式の加熱ブレードで温めて使用する。マイクロチップによって温度が管理されており、燃やすのではなく熱することで有害性成分の発生を低減しつつ、たばこ本来の味わいがしっかり味わえる。
では、iQOSから発生する蒸気を吸った人がいる空間の空気の汚れはどうだろうか。PMJの親会社であるフィリップ モリス インターナショナル(PMI)は、
(1)人は在室しているが何もしていない
(2)在室している人がiQOSを使用
(3)在室している人が紙巻きたばこを吸う
それぞれの状態の空気のデータを収集・分析するテストを行った。
実験にあたっては家庭、オフィス、レストランの部屋を用意した。実際に使われる家具や生活用品を配置し、成人喫煙者が5時間在室するという条件を設けている。
屋内環境試験を担当したキャサリン・ゴウジョンさんによると、次のようなデータが得られたという。
- 人が在室しているが何もしていない状態と、iQOSの蒸気が存在する状態を比較したところ、空気中の化学物質の値はほとんど同等であると考えることができる。
- iQOS使用の際、人が在室しているが何もしていない状態に比べて、高いレベルで測定された物質はニコチンおよびアセドアルデヒドの2種類のみ。
- しかし、該当の2種類の物質は、従来のたばこ製品に比べれば非常に低い数値であった。
以上の研究成果は、今月3・4日に沖縄県で開催された「平成27年室内環境学会学術大会」でプレゼンテーションされた。その内容をマスコミ向けに改めて説明するために、記者会見が開かれたというわけだ。