ピース又吉さんと並ぶ注目株、東山彰良さん直木賞作品も年間上位に...日本語が"母国語"ではないベストセラー作家の"系譜"

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楊逸、リービ英雄、カズオ・イシグロ、多和田葉子...

   実は東山さんのように、日本語を母国語としない作家がじわじわ増えている。たとえば08年に『時が滲む朝』で芥川賞を受賞した楊逸(ヤンイー)さん(51)は中国・ハルビン生まれ。横浜のおじを頼って22歳で来日したころは日本語がまったく話せなかった。芥川賞を受賞した時は、来日20年ほどなのに凄い、と話題になった。

   英語圏出身では米国生まれのリービ英雄さん(64)がいる。父親は外交官で、少年時代から台湾、香港、米国、日本などで暮らした。米国の名門プリンストン大学で東洋学専攻し、卒業後は同大大学院に進み「万葉集」などを研究。1992年『星条旗の聞こえない部屋』で野間文芸新人賞、2005年『千々にくだけて』で大佛次郎賞。さらに09年 『仮の水』で伊藤整文学賞受賞している。

   欧米系ではほかにも、スイス出身で芥川賞候補(「いちげんさん」)にもなったデビット・ゾペティさん(53)らがいる。

   逆に日本から海外に出た作家としては、カズオ・イシグロさん(61)が有名だ。父の仕事の関係で5歳のころ英国に移住し1989年、小説『日の名残り』で同国最高の文学賞ブッカー賞を受賞した。

   また、92年に『犬婿入り』で芥川賞を受賞した多和田葉子さん(55)は長くドイツに住み、ドイツ語と日本語の両方で作品を発表している。

   国境を越え、移住先の国の言語を自由に操って文学の世界で活躍する――。誰もができることではないが、語学習得で苦労する日本人にとっては励みになる人たちだ。

    ちなみに、今や世界で人気の村上春樹さんは、近著『職業としての小説家』によると、独自の文体をつくるために、一度英語で書いてから日本語に翻訳して磨き上げる訓練をしたという。グローバルに通用する「ハルキ文学」は、コトバの壁を越えようとする地道な努力が支えている。

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