ビートルズの新アルバム「ザ・ビートルズ1」が発売されて一か月。ビートルズ人気は、いまも衰えを知らないようだ。さっそくオリコン週間アルバム総合チャートで初登場1位を獲得し、アマゾンのレビューには、フアンたちから熱いメッセージが次々と書きこまれ、すでに150を超えた。
「各楽器、ボーカルの分離が進み、曲がさらにかっこよくなっています」
「まず画質。全体的に美しくなったけど、特にカラー映像の美しさったらない」
「これが現在最高の音質であることは間違いありません。初期CD版を聴きまくった耳には、一枚ベールを脱いだような解像度と音圧。音の分離が素晴らしく、まったく聴いたことのないビートルズがそこに在ります」
アマゾンレビューでは次々とファンたちの、五つ星のコメントが続く。
CD、DVD、BR、期間限定スペシャル・プライス盤、完全生産限定盤...
ビートルズの楽曲の中から、イギリスとアメリカ、もしくはどちらかの国のヒットチャートで1位になった曲を収録したベストアルバムだ。1962年の「ラヴ・ミー・ドゥ」から、おなじみの「ヘルプ」や「イエスタディ」、70年の「レット・イット・ビー」「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」まで、彼らの活動期間に即してヒットナンバー27曲が並んでいる。しばしばスタイルを変えたビートルズの姿を一枚で堪能できる構成だ。
同じ選曲のアルバムは2000年にも発売され、全世界で3200万枚、日本でも320万枚が売れた。今回はマスター・テープまで遡って楽曲の大幅なリミックスが行われ、ビートルズとしては初めてミュージック・ビデオ(MV)と合体させた。CD版、DVD版、ブルーレイ版があり、それぞれが組み合わされた「期間限定スペシャル・プライス盤」、さらに23曲がプラスされた「完全生産限定盤」などもある。購入にあたっては注意が必要だ。
いまではミュージック・ビデオは当たり前だが、ビートルズは早くも65年に「デイ・トリッパー」など5曲分を手がけている。すでに超人気バンドとなり、過密日程が続いていた。そこでMVをテレビ局に送り、「ビデオ出演」ですませることにしたのだという。その後もいくつもの凝ったMVが制作され、他のミュージシャンも彼らにならって競ってつくるようになった。11月24日の朝日新聞は「MVの先駆者ビートルズ」という視点から、今回のアルバムを紹介している。
新アルバムは「究極のベスト、究極のザ・ビートルズ」とのうたい文句で2015年11月6日、世界同時発売された。21世紀になってもビートルズが「イエスタディ」な存在になっていないことは確かだ。