おでんが恋しくなる季節に突入した。様々な具材が思い浮かぶところ、紀文食品の「魚河岸あげ」は地域を問わず人気が高い。
商品名の「魚河岸」は、東京中央卸売市場(築地市場)の通称でもある。水運が物流の主流だった江戸時代、川辺で荷揚げを行っていたことに由来する。大正時代まで東京の魚河岸は日本橋にあったが、1935年に現在の中央区築地で開場した。施設の老朽化と敷地の狭さから、約2キロ離れた江東区豊洲へ2016年11月に移転する。
築地発祥の企業で、魚河岸という名前に思い入れがある紀文食品は15年10月23~28日の6日間、全国1万人を対象にアンケート「築地に関する調査」を実施し、その結果をこのほど発表した。移転そのものは54.7%の人が知っていたが、80.8%が「移転時期を知らない」と回答した。
移転は知っていたが...時期は知らない
最初の質問は、築地市場移転を知っていたかどうか尋ねるもの。全体の67.9%が「知っていた」と答えた。ただし認識には地域差があり、南関東では81.0%だったのに対し、近畿は54.1%、中部は61.9%にとどまった。
中央卸売市場の移転論議は1980年代からあった。最初の候補地は豊洲ではなく品川区大井で、機能の一部を分散配置するというもの。いったんは現在地での再整備に流れは傾くも、紆余曲折の末、豊洲移転が正式に決定する。
次に移転内容をどこまで知っているか、複数回答で答えてもらった。回答総数は6794。多かったものから順に挙げると、「公共市場としての機能は豊洲へ移る」が54.7%、「豊洲への移転は2016年11月である」が19.2%、「東京都公認の中央卸売市場として業者間の売買をする公共市場としての機能がなくなる」が16.9%、「公共市場として利用されていた場所はより一般の方向けの築地新市場が建設される」が16.7%。
世界最大級の卸売市場が移転するとあって、世間の関心は高いはずだが――具体的な移転時期を知らない人が8割以上いた。