高齢者の子ども世代に政府がメッセージを送る理由
詐欺の被害にあわないよう訴える従来の政府広報は、被害者=高齢者にアピールする内容だった。国や地方自治体、警察、金融機関も監視の目を光らせている。それなのに詐欺にあう人は増える一方だ。警察庁「平成26年の特殊詐欺認知・検挙状況等について」によると、被害総額は約566億円にのぼった。
振り込め詐欺の犯罪者は、高度に組織化されているといわれる。頂点に裏社会の構成員が君臨し、社会人や若者に犯罪行為をさせて上前をはねる。さらに住所不定者や生活困窮者を利用し、銀行口座をつくらせて奪ったり、運び屋をやらせたり、電話をさせたり......。その実態はテロ集団のようで、正体が分かりにくくなっている。詐欺撲滅が困難になっている理由だ。
こうした情報はテレビや新聞、広報紙などで繰り返し伝えられている。しかし家族で詐欺手口を話し合い、犯罪者から電話がかかってきたときの見破り方を決めていないと、あっさりだまされたりするものだ。
高齢者の息子・家族・友人からのこまめな声かけや日ごろの連絡こそ、被害防止につながる――。「毎日話せば詐欺は防げる。」というコンセプトに最適な人物として、カンニング竹山さんは選ばれた。
政府広報のインタビューに対して竹山さんは、同世代の社会人に対し次のようなメッセージを送る。
「自分の親にもよく、お金とか、電話で出してくれみたいなことって絶対ないからって話しています」
「息子さんが事故に遭われたとか、ビジネスに失敗して急にお金が必要になったとか、そんな電話があったら慌てるのは当然ですが、ひとまず落ち着いて、一回ちゃんと本人に連絡を取るということをやっていただきたいなと。意外と単純なことが、詐欺を防ぐことになると思います」
「僕らと同じ息子世代、娘世代の方は、親と常にコミュニケーションを取り続けることが大事なので、もしこのCMを見て、あっそうだ、久しぶりに親と連絡を取ろうかなと思った方は、今すぐ電話してあげてください。そういうひとつひとつの積み重ねが大切なんじゃないかなと思います」