「住まいの内装をがらりと変える」と聞いて、多くの人が思い浮かべる手段はリフォーム(国交省の定義では「修繕」=新築時の目論みに近づく様に復元すること)やリノベーション(同「改修」=新築時の目論見とは違う次元に改修すること)だろう。
塗料メーカーの日本ペイントホールディングス(大阪市)は、「リフォームやリノベーションのような大がかりな方法を取らなくても、部屋の雰囲気を一新できる」という新たな試みを提案している。住空間の内装にペイントを施すことによって、空間を生まれ変わらせる「ペイントリノベーション」という方法だ。
古い建物とは思えないオシャレな空間に
ペイントリノベーションで住空間はどのように変わるのか。日本ではあまり広まっていない「内装ペイント文化」の創造を目指して日本ペイントが立ち上げた塗装ブランド「ROOMBLOOM(ルームブルーム)」のショーケースを訪ねた。「建築家と考えるペイント」というプロジェクトの第一弾として、各国のオリンピック関連施設などを手掛ける建築家、白井宏昌氏とコラボレーションし、都内にある築数十年の昭和建築をペイントリノベーションした空間だ。
玄関を入ってすぐ、鮮やかな黄色に塗られた壁面が目に飛び込んできた。黄色と白のコントラストが美しい廊下を抜け、リビングに入る。壁面を濃い水色と真っ白の塗料で塗り分け、天井はまだらの灰色にすることで見た目にアクセントを加えたモダンな部屋だ。家具などの調度品まで含めて部屋全体が調和するようにデザインされているといい、古い建物とは思えないオシャレな空間に仕上がっている。
白井氏は、今回のプロジェクトでペイントが持つ「空間全体のトーンを整える」「今ある素材を活かせる」「自在にデザインできる」という特徴に着目し、「建物に大きな工事を施さなくても良いリノベーションが出来ることを示したかった」と語った。
施工前の写真を見ると、もともとの内装は白い壁紙を基調とした昔ながらの単調なデザインだ。部屋全体にペイントを施したことで建材の経年劣化を目立たなくし、さらに空間にメリハリを生みだした。施工前後の写真を見比べると、色の変化だけでも室内の印象が大きく変わったことがわかる。