「DIY賃貸」をご存じだろうか。2014年に国土交通省が提案した新たな契約形態で、トイレや風呂の整備や部屋の内装などを借主が行うことを前提とした物件のことを指す。借主が初期整備を負担する代わりに賃料が安くなるといったメリットがある。しかし、その初期整備のハードルが高く普及を阻んでおり、改良タイプが模索されている。
グッドルームが第一弾のモニター入居者募集
DIYはDo It Yourself(ドゥ イット ユアセルフ)の略で「自分で何かを作ったり修繕すること」の意。かつては家庭で休日に夫や父親が"にわか大工"になることを表す「日曜大工」が訳語に充てられた。
DIY賃貸は、増え続ける空き家や老朽化した住居の活用推進を目指して提案されたもの。一般的な賃貸は、貸主が貸す前に必要な修繕、清掃など自己負担で行うことが多いが、DIY賃貸は入居のための整備を借主に任せる。貸主は「自己負担や手間をかけずに物件を貸せる」、「物件が退去時にDIYでレベルアップした状態で戻る」などメリットがあり、借主には「物件を持ち家のように自分好みにカスタマイズできる」、「賃料を抑えられる」といった利点がある
だが、賃貸物件の整備は"日曜大工"では賄いきれないことが多いよう。工事費用などの初期負担も大きいため敷居が高く感じられるのか、あまり広がっているとはいえない。
そうした現状を受ける形で、賃貸紹介サイトを運営するグッドルーム(東京都渋谷区)が、基本工事をオーナーが施し、床や壁の変更などは借主に任せる「途中からDIY賃貸」サービスを開始した。
グッドルームが提案する「途中からDIY賃貸」は解体・水周りの補修/交換など住まいの基礎工事を貸主が施し、床や壁の仕上げなどは、借主が好みに合わせてDIYで仕上げるという契約だ。工事期間中のフリーレント(家賃免除)もセットで提供されるため、借主は通常のDIY物件に比べて費用負担を約半分ほど軽減できる仕組みになっている。
グッドルームは「途中から賃貸の第一弾として「TOMOS×DIY 鷺沼」を発表し、2015年11月から神奈川県川崎市にある物件のモニター入居者を募集している。