失われた20年とともに「あきらめ感」
90年代に『脳内革命』という本が大ベストセラーになった。「脳から出るホルモンが生き方を変える」と説き、「プラス思考」や「ポジティブ・シンキング」がトレンドになり、「自己啓発」ブームの先駆けになった。この流れに「資格取得」がもてはやされ、「スキルアップ」「セルフヘルプ」「夢をかなえる」といった合言葉が続いたが、「失われた20年」とともに格差は拡大し「あきらめ感」が漂っている――。
日本人にとって「自己啓発」とは何なのか。『「自己啓発病」社会』(著・宮崎学、821円、祥伝社)は、「『セルフヘルプ』という病」をキーワードに現代社会の病理を解剖する。
著者は学生運動に没頭、中退したがよく知られた人だった。週刊誌記者を経て半生を綴った『突破者』でデビュー、以後も精力的に執筆活動している。