名教師への師事、結婚...23歳の時に祖国に音楽に目覚め
人生が旅、のような青年時代を送ったアルベニスですが、23歳の時、転機が訪れます。スペインの名教師フェリペ・ペドレルに師事して祖国スペインの音楽に目覚めたことと、結婚したことです。彼はそれ以来はたと放浪することがなくなり、祖国スペインを描いた音楽を書き始めるのです。最も得意なスタイルは、やはり彼の愛す楽器、ピアノのためのものでした。
スペインのいにしえの名であり半島の名である「イベリア」の名を冠した組曲を作曲したのは、若干48歳で亡くなった彼にとっては最晩年の4年間、パリに居住している時でした。各曲の題名であるセビーリャ、トゥリアーナ、マラガ、ヘレスといった「スペイン情緒漂う」地名はカタルーニャ出身の彼にとっても遠くあこがれの地であるアンダルシアの街で、ピアノの超絶技巧で、濃厚な世界が描き出されています。作品はフランスを中心に絶賛され、現在ではアルベニスを代表するだけでなく、スペイン音楽を代表するレパートリーとなっています。
晩年フランスで暮らしてフランスのスペイン側、ピレネーで亡くなったアルベニスですが、前仏大統領のニコラ・サルコジ氏が大統領に就任した時のセシリア夫人が、アルベニスの曾孫として、話題になりました。
本田聖嗣