仏、独、ベルギー...貨物船密航して中南米、北米へ
1860年、スペインのカタルーニャ地方ジローナ近郊のカンプロドンに生まれたアルベニスは、幼少のころからピアノの天才的な腕前を発揮します。上記ヴィニュスもそうですが、スペインで突出した才能は、隣国フランスの首都パリに出て、勉強を続けたり、演奏会を開いてプロデビューすることが多いのですが、アルベニスは、パリ音楽院の1次試験は合格したものの、2次試験で不合格になりました。その理由は、彼が若すぎたからだとも、2次試験前に学校の設備を破壊したからだともいわれています。
とにかく、一か所にじっとしているのが苦手だった若きアルベニスは、ピアノの腕一本で、フランスをはじめドイツやベルギーを勉強と「対外試合」を放浪し、さらには、貨物船に密航して中南米~北米諸国まで足を延ばしました。彼は典型的な陽気なスペイン人だったために話を「盛ってしまう」傾向があり、少年時代のこういった冒険・放浪物語は、ちょっとオーバーなところもあるのですが、ステージパパに連れられて、10代からワールドワイドにピアノの演奏旅行をした、というのは、まぎれもなき事実です。