ロッテの"息をデザインするガム"「ACUO(アクオ)」の噛んだ後のイメージをサウンドで伝えよう、というユニークな試みのウェブ限定動画「息興曲(そっきょうきょく)」シリーズが2015年11月2日、同製品の公式サイトで始まった。「息のニオイを音で表現する」ことに、作曲家・ピアニストの新垣隆さんが挑戦。クサいものを食べた人の息と、その後にACUOを口にした人の息を嗅ぎ、その違いを即興のピアノ演奏で伝える。
「世界一クサい食べ物」を食べた人の息を嗅ぐ
クサいものは、"世界一臭い食べ物"とされる「シュールストレミング」。主に北欧のスウェーデンで食べられている塩漬けのニシンの缶詰だ。これを食べた直後の女性の息を嗅いだ新垣さんは、強烈なニオイに顔をしかめる。鍵盤の扱いは荒々しく、メロディーには不協和音が混じり、聞いていて快いとはいいがたい音だ。
続けて、シュールストレミングを食べた直後にACUOを噛んだ別の女性の息を嗅ぐ。新垣さんはその爽やかな息に心動かされ、穏やかな弾き方に変化。不協和音はなく透き通った響きで清々しい印象の曲を奏でる。
さらに、新垣さんの両隣に"シュールストレミング"の女性と"ACUO"の女性が立って息を吐き、交互に嗅ぐと、それに応じてサウンドも変化するというシーンが続く。
「ニオイの感覚を、ほとんど意識を通さず、腕から指へ直結させるといったようなことができた気がします。自分なりにイメージして作った音に関して、ある程度うまくいったのではないかと」と新垣さん。
本当にニオイから受けた精神的影響が、音楽に反映されたのだろうか。新垣さんの演奏について、日本音響研究所が音楽の3要素(リズム、メロディ、ハーモニー)を周波数分析した。
それによると、シュールストレミングを食べた息を嗅いでの演奏では、「音の成分が詰まり、音がにごっている。これが不協和音を構成している」。ACUOを噛んだ息を嗅いでの演奏は、「音のにごりが見られず、連続的に音階が変化。なめらか且つ希望を感じさせる軽やかなメロディを奏でている」という。
同研究所の鈴木創(はじめ)所長は「音楽的な知識や感性が豊かである新垣さんであったからこそ、彼がニオイから受けた精神的影響をストレートに音として表現できた」という。