骨が立てる音を木琴で
しかし、「真夜中を過ぎて、墓の上で死神と骸骨がカチャカチャ骨の音を立てて踊り狂う」というグロテスクかつにぎやかな描写は、歌曲ではおさまりがつかなかったのでしょうか、その2年後に、オーケストラの曲として編曲します。骨が立てる音を木琴で表したりという大変描写的な「交響詩」として完成し、人々に、広く知られるサン=サーンスの代表曲となったのです。死が一方のテーマなら、もう一方のモチーフは舞踏、つまりダンスですから、旋律は不気味ですが、全体としては、とても歯切れのよいリズミカルな交響詩になっています。
サン=サーンスよりは先輩だったフランツ=リストもこの曲にいたく感激し、彼も自分オリジナルの「死の舞踏」という曲を書いていたにもかかわらず、サン=サーンスの交響詩「死の舞踏」を、ピアノ・ソロに編曲し、こちらも、ヴィルトオーゾの曲として、世界のピアニストによって弾かれています。
本田聖嗣