今月(2015年10月)、プロ野球選手で最年長だった山本昌投手(50)がマウンドを降り、ボクシングの亀田興毅選手(28)も現役引退を表明した。どんな仕事であれ、現役を辞めるのは難しい。悔いなく笑顔で去って行く人もいれば、「老害」といわれても権力の座にしがみついている人もいる。それぞれの人生の引き際について考えてみたい。
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醜悪を見せる政治家や財界人
「人間、引き際が大切だ。いかに成功をおさめようとも、いい仕事をしようとも、最後次第で台無しになってしまう」。その通りだ。「最近、無様な醜態を見せる政治家や財界人を見かけることが増えた」。これもその通り。
『引き際の美学』(著・川北義則、778円、朝日新聞出版)は、『男の品格』や『みっともない老い方』で知られる川北義則氏の一冊である。いまの日本では、我欲に走り過ぎた結果、辞め際、去り際、別れ際、引き際がきれいでなくなっていると嘆き、人生における「終わり方」を指南する。見事な例として、アメリカの鉄鋼王、アンドリュー・カーネギーや日本の本田技研工業(ホンダ)の創業者、本田宗一郎を挙げる。
男と女の別れ際についても「男なら未練があっても忘れろ」「大人の男と女に別れの言葉はなくていい」と説く。