リヒャルト・シュトラウスのリスペクトと「英雄」

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出だしの「調」が曲全体を決定づける

   話は変わりますが、作曲家が自作の「調」を選択するのは、いろいろな諸条件を勘案したうえでのことです。クラシック曲は長いので、もちろん曲中で転調していろいろな調を使うのは当然なのですが、例えば、「交響曲 ハ短調」と言った場合は、最初の楽章の出だしの調のことを指していて、この調が、その曲全体を決定づける重要なものとなるのです。

   ハ長調、ト長調、イ短調、ニ長調、ホ短調...作曲家の選択肢は、たくさんありますが、たとえば、ショパンなどは自らがピアニストで、ピアノ曲を多く残したので、ピアノが弾きやすい、フラットやシャープがある程度数が付いている調を選びがちです。彼にとって、調号が全くついていない、つまり白鍵だけで弾くことになる「ハ長調」は決してピアノ向きの調ではなく、なるべく避けていたのです。

   オーケストラの場合は、クラリネットやホルン、トランペットなどの、「オリジナルの調がハ長調ではない」楽器が存在し、さらに、それらの楽器が得意な調と苦手な調があるため、その楽器の「鳴り具合」を考えて調性を選択する場合もあります。

   もちろん、多くは、それぞれの調が持つキャラクターを作曲家は考えるわけですが、一筋縄ではいかないことがご理解いただけたでしょうか。

本田聖嗣プロフィール

私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でピルミ エ・ プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソ ロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目CDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラ マ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを 務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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