ジャーナリズムの作法
閑話休題。
本書は著者の経験談が主軸であるため、情緒的な記述も多い。一人の母親としての迷いや率直な感情の吐露もあり、母親の真心に洋の東西はないことを教えられる。
だが、それに止まらない価値が本書にはある。子育てに関する丁寧なリサーチが行われており、要所で学説やOECDのデータ等が的確に引用されるからだ。その典拠は明示され、原典に当たれるよう巻末に注釈もつけられている。これが強い説得力となって、育児の手引書としての価値も高めている。
ジャーナリストが丁寧かつ誠実な仕事をする点はさすが米国流だ。著者には日本の事情も取材してもらいたいものだ。きっと我々には気づかぬことを多々指摘してくれることだろう。
酔漢(経済官庁・Ⅰ種)