オバマ米国大統領が、その就任前に著して、日本でも大いに読まれたのが、「合衆国再生~大いなる希望を抱いて」(2007年12月 ダイヤモンド社)だ。オバマは上院議員となり、民主党の大物議員ロバート・バード上院議員に挨拶に行った際、バードは、「規則と先例を学びなさい」といったとのエピソードがある。この記述は、このような古臭さに対する、ワシントン政治になじまない新人オバマの違和感をうまく表現していたと記憶する。
議会ではなにより「規則と先例」
日本においても、アメリカと同様、議会の規則と先例が重要であり、これに精通していることが、当選回数を重ねた議員が、議会の中で議事運営に非常に大きな力を発揮し、それに精通していない新人議員はなかなか力を発揮できないことのゆえんとなる。議会における「規則と先例」には、行政側でも法案担当ともなると、他人事ではいられない。
「新・国会事典~用語による国会法解説(第3版)」(浅野一郎・河野久編著 2014年6月 有斐閣)は、手元において、折に触れて見直す必携の1冊である。本書の編集担当者がいうように、国会の議事手続や運営に関する事項は、憲法、国会法、議員規則などに定められているが、事案によっては、それらの法規には定めがなく、同種事案についての先例を探して解決しなくてはならない場合もある。なお、各議院においては、議院と委員会運営に関し、それぞれ先例集を作成している。参議院のものは現在ホームページ上で閲覧できるようになったし、衆議院のものも、国会図書館等で閲覧できる。