「万田31号」は「魔法のクスリ」のようなもの
―― 「ミャンマープロジェクト」の支援で、現地の人々になにか変化は現れましたか?
松浦社長 「当初は『この日本人はいったい何をやるのだろう』と、半信半疑でしたね。ただ、勉強会や説明会を重ねていくうちに、『この方法であれば、米の収量が上がる』と確信に変わっていったようですし、わたしどもとの信頼関係も深まりました。
現地の人たちにしてみれば、『万田31号』を使ったことで、米の生育が進み、収量が約2倍にアップしたのですから、『魔法のクスリ』のように見えたのでしょう。日本の水田ように、適切な間隔で苗を植えて農業用資材を活用することで青々した田んぼが広がるようにもなりました。刈り入れは手作業で大変ですが、米の収量がアップして品質も向上していることが実感できるようになったことで自信がつき、目の色が変わってきました」
―― プロジェクトに携わった社員のようすに変化はありましたか?
松浦社長 「物事の見方が変わりましたね。日本で当然のことがミャンマーでは当然ではない。そんなことが山のようにありますし、日本からみるミャンマーはもちろん、ミャンマーからみる日本を知ることで、考え方や生き方は大きく変わるはずです。
新卒者を研修として派遣していますが、ミャンマーでは働く喜びや、人のために、世の中のために貢献することを体感できます。そういったことを、若いうちに感じ取ってもらうだけでも社員にとっては大きな収穫だと思いますし、帰国すると一人ひとりがいろいろな場面で『役に立ちたい』という想いを強くしているように感じています」
―― 「ミャンマープロジェクト」を、今後どのように育てていくのでしょう?
松浦社長 「現在は自社農場を運営し、現地のニーズにあわせた最適な米づくりを実験しています。その一方で、支援活動を継続するには、ビジネスとして成立させる必要性を感じています。引き続き現地に即した米づくりを行い、展開していきたいと考えています」