暗闇の中、他者とのフラットな関係を楽しむ
DIDでは、同じクループとなった参加者同士の間でも、フラットな関係を楽しむことができるという。著者によれば、暗闇では「どんな立場やどんな役割の人でもフラットになれ」「視覚以外の感覚を磨くことも感性を高めることもできるし」「共に行動をする人たちを助けたり、逆に助けられたりする中で、楽しみながら相手のことを本当の意味で知ること」ができるというのだ。
また、DIDでは、ユニバーサルデザインを基本に、健常者だけでなく、車いすの方や耳の聞こえない方などにも、各人の事情に応じて工夫を凝らすことで、体験機会を保障している。
「余命10日」と宣告された末期がんの患者さんも体験したという。
声帯を切除し声の出せない女性の場合には、「怖いときには手を叩く」「楽しく感じたときには口笛を吹く」といった特別ルールを作り、参加メンバーで共有したそうだ。結果、このセッションでは、暗闇の中でピーピーという口笛が飛び交い、最後は皆で手をつないで暗闇から出てきたという。