自分に都合よく期待する本能
これほど自然災害の多い国なのに「自分だけは大丈夫だ」と思っている人が少なくない。そもそも人間には「自分だけは大丈夫だ」と都合よく期待をする本能があるという。地震に備えることもしないし、自分だけは逃げ切れると思っているのだ。
『新・人は皆「自分だけは死なない」と思っている』(著・山村武彦、1296円、宝島社)は、東日本大震災でわかった緊急時の行動と心理から、自分と家族を守るための「心の防災袋」を提案する。2005年に出されたものに東日本大震災や御獄山噴火などを収録した改訂新版だ。
著者の山村武彦氏はテレビでお馴染の防災・危機管理アドバイサー。学生時代に遭遇した新潟地震(1964年)でのボランティア活動をきっかけに、地震、津波、噴火、土砂災害、テロ、事故など50年間一筋の災害対策のプロだ。心理面からの解説に説得力がある。