「失敗の本質」を基にしたビジネス書 変化への対応の重要性を知る

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組織内に日常的に蔓延しているリスク

   もう1点、イノベーションを意識的に起こすための方法論が分かりやすく解説されている点もお勧めのポイントだと思います。イノベーションの重要性は多くの方が認識していると思われますが、どうやって意図的にイノベーションを起こすかのヒントがシンプルに解説されていると思います。

   さらに、第7章の「集団の空気」を読むと、日本組織内で依然として日常的に蔓延しているリスクを認識しておくことの重要性を改めて実感します。

   「日本人は今こそ、過去の失敗から学ばなければならない。」と冒頭に書かれている通り、戦争に限らず経済バブルが繰り返されるなど、日本人に限らず、人間は失敗を繰り返しがちな生物だと思います。

   本書は、戦時下の日本軍と現代日本には共通点があると指摘し、「誤判断を許容した日本軍という組織の特性」を、今の日本も継承し続けている可能性に警鐘を鳴らしています。また、「新しい時代の転換点を乗り越えるために」必要となる「現代日本人へのメッセージとしての『失敗の本質』」と締められており、『失敗の本質』から示唆を得た本書は「「日本人論」そのものだと言えるかも」と述べられています。

【霞ヶ関官僚が読む本】現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で「本や資料をどう読むか」「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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