「失敗の本質」を基にしたビジネス書 変化への対応の重要性を知る

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戦略の決め、指標を定めよ

   本書は、全部で7章構成となっています。

第1章「なぜ「戦略」が曖昧なのか?」
第2章「なぜ、「日本的思考」は変化に対応できないのか?」
第3章「なぜ、「イノベーション」が生まれないのか?」
第4章「なぜ「型の伝承」を優先してしまうのか?」
第5章「なぜ、「現場」を上手に活用できないのか?」
第6章「なぜ「真のリーダーシップ」が存在しないのか?」
第7章「なぜ「集団の空気」に支配されるのか?」

   とりわけ仕事をする上でのヒントになると思われるのは、戦略を明確化することの重要性をその理由とともに再認識できるところだと思います。四方八方に戦線を拡大し、収拾がつかなくなったことなども事例に出しつつ、戦略が曖昧であることの危険性が指摘されます。

   本書では、「戦略とは追いかける指標のことである」と定義付けし、「戦略決定とは「追いかける指標を決める」こと」であり、指標の設定を間違えると最終的に大きな失敗を招くこととなることを解説しています。日米両軍の指標の設定のほか、米国IT企業が採用したプラットフォーム戦略等も事例にされており、それらの戦略とその結末との関係性がまとめられていることにより、戦略決定の重要性が分かりやすく解説されています。

   また、戦略決定に当たっては、競合相手の指標を無効化することに重点を置くべき、という解説は、孫子の兵法「彼を知り、己を知れば、百戦危うからず」に通じるものがあると思います。往々にして内側向きの視点に基づき改善を繰り返して自らの強みで勝負すれば勝てると考えがちと思われる日本組織において参考になると思います。

【霞ヶ関官僚が読む本】現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で「本や資料をどう読むか」「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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