ガーシュウィンの実感だった「パリのアメリカ人」

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ラヴェルら仏の大作曲家らに弟子入り断られ...

   ガーシュウィンは、作曲を教師について一応は勉強していたものの、少年時代からのピアノ弾きのアルバイトを通して、習うより慣れろ、といった調子で身につけてきました。そのため、評価される作曲家になっても、「自分はクラシック音楽を本質的に勉強していない」というコンプレックスを抱えていたようで、アメリカに来るヨーロッパの高名な作曲家たちに、かたっぱしから弟子入りを志願する、ということがありました。特に彼がご執心だったのが、フランスを代表する作曲家、モーリス・ラヴェルで、ニューヨークで催された彼の53歳の誕生パーティーに出席し、弟子入りを直訴します。皮肉屋のラヴェルは最初に彼の年収を聞き、驚き、「それだけ稼いでいるなら立派なことです。二流のラヴェルになることはない、一流のガーシュウィンでいなさい。」というまことに彼らしいレトリックで、弟子入りを断ります。ガーシュウィンもめげない男だったので、ラヴェルに、当時パリで名教師として名がかかったナディア・ブーランジェという人物への紹介状を書いてもらい、パリに行って弟子入り志願をしますが、これも、「あなたの才能を傷つけたくない」といわれて、断られてしまいました。

本田聖嗣プロフィール

私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でピルミ エ・ プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソ ロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目CDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラ マ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを 務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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