ジャズスタンダード「サマータイム」...G・ガーシュウィンの本格オペラ「ポーギーとベス」のアリアが"進化"

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クラシックの枠組みの中で初の「アメリカの音楽」

   ボストンでの試験興行のあと、ニューヨークで、このオペラは初演されました。シアター・ギルドとの契約により、オペラの殿堂メトロポリタン歌劇場ではなく、ブロードウェイの劇場での上演でしたが、オペラには不慣れな劇場で、しかもキャストも全員黒人――逆に製作チームは演出も指揮者も全員白人でしたが――というチャレンジングな状況で上演され、大方は好意的に迎えられたものの、彼のそれまでのミュージカルのような大ヒットとはなりませんでした。オペラを期待した人からは、ミュージカル的すぎる、といわれ、ミュージカルに慣れ親しんだ人たちには、本格オペラの構造が理解されませんでした。結局、クラシックと、「アメリカ音楽」双方に情熱を燃やしたガーシュウィンの最も重要な作品でありながら、本格オペラとして上演される機会は少なく、反対に、オープニングの序曲の後にすぐ歌われ、劇中になんども登場するアリア、「サマータイム」がジャズのスタンダードナンバーとして、広くポピュラー歌手たちによって歌われ世界中で親しまれています。

    本来、この曲は、ガーシュウィンが、オペラというクラシック音楽の枠組みの中で、初めて、高らかに「アメリカの音楽」を歌い上げたナンバーだったのです。

本田聖嗣

本田聖嗣プロフィール

私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でピルミ エ・ プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソ ロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目CDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラ マ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを 務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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