自然を忘れた人間の傲慢さ
猛暑とみれば、突風やゲリラ豪雨が襲いかかる。土石流や洪水、大地震や火山噴火、津波や山火事。このところ、世界的な自然災害が頻発している。自然は人類を育む母だが、牙をむくこともある。
「文明が展開すると、人間は自然の世界を時に忘れた。20世紀の末、人間の傲慢さがさまざまな災害をもたらしたとき、自然を再び自覚した」
『環境歴史学とはなにか』(著・飯沼賢司、864円、山川出版社)はこのように語り、いまこそ、自然と人間の関係の「環境歴史学」が必要だと訴える。「新しい歴史学としての環境歴史学」をもとに、具体的な調査・研究を例に環境歴史学の可能性を論じる。じっくりと向き合う専門的な書だ