消えゆく日本を惜しむ本も
著者の中には駐日大使の経験者もいるが、どちらかといえばごく普通の人たちが目立つ。それぞれの仕事や体験を踏まえながら、なぜ「世界から愛されるか」を説いている。単に日本をほめるだけでなく、開発優先で消えゆく古き良き日本を惜しむものもあるが、少数派だ。
「ニッポン大好き」本が増えた背景のひとつには、近年のクール・ジャパン人気がある。実際、「日本のことは、マンガとゲームで...」の著者ベンジャミン・ボアズさんは、4歳でスーパーマリオにハマった。その後、どのようにして日本のポップカルチャーに魅かれ、日本の魅力に目覚めていったか、体験をもとに伝えている。「北欧女子...」の著者オーサ・イェークストロムさんによれば、東京は「マンガ好き外国人にとっては天国みたいな」ところだという。
テレビでもしばしば登場する「日本人以上に日本通」の外国人たち。日本人の側からそうした人たちにスポットを当てた本も、このところ相次いで出版されている。
「ニッポンを発信する外国人たち」(洋泉社)は、日本酒、落語、禅、墨絵、和紙、古民家などに詳しい、在日10年以上の12人の外国人にインタビューし、彼らがなぜ魅せられたかを紹介している。
「クール・ジャパン!? 外国人が見たニッポン」(講談社)は、NHK BSの人気番組『cool japan』の司会者を10年以上つとめる劇作家の鴻上尚史さんが、番組で取り上げたテーマをもとに外国人たちの様々な見方を伝えている。
明治期以降、フェノロサやラフカディオ・ハーン、ブルーノ・タウトなど様々な欧米人が「日本美」を発見、日本人自身による日本再評価につながってきた。一連の「ニッポン大好き本」は現代の日本人にどんな影響を与え、自らを見直すきっかけを作るだろうか。