「うんまい!」「これ神だわ」「美味すぎて泣きそう」――。高校生、大学生らを中心に、ひそかに人気の飲料製品がある。ダイドードリンコの「2つの食感ソーダゼリー」(税抜115円)だ。ネットには"絶賛"のレビューコメントがあふれている。
テレビCMなど大々的広告は打っていないにもかかわらず、売り上げは順調に伸びている。2011年の発売から、今年(15年)6月期までに9000万本を達成し、今年度中に累計1億本を達成する見込みだという。
「小腹を満たしたい」ニーズに対応
「缶コーヒー」のイメージが強いダイドードリンコ。ゼリー飲料を出していることすら、あまり知られていないかもしれない。加えて広告展開していないとなれば、なぜこの商品の売れ行きが堅調なのか気になる。J-CASTトレンド記者は、とりあえず飲んでみることにした。
炭酸飲料にもかかわらずパッケージの説明書きには、缶を十数回振ってから開けるよう注意している。なかはゼリー状の液体で満たされているという。
「プシュ!」。あふれ出てくる様子はない。口をあてて傾けると、シュワシュワの炭酸と、プルプルのゼリーが押し寄せる。時たま流れてくるナタデココもまた、心地よい食感を演出してくれる。
ダイドードリンコによると、「炭酸飲料でリフレッシュしたい」「ちょっと小腹を満たしたい」という2つのニーズを1本の飲料で満たせる"経済的"理由などから、高校生ら若者中心にリピート購入する消費者が増え、特に学校周辺の自動販売機で、好調な実績を残しているという。
商品開発は試行錯誤の連続
プルトップを開ける前にシェイクさせるよう、ゼリー飲料に炭酸ガスとナタデココを加えて密閉する製法は、委託製造先が特許を得ている技術。とはいえ商品化までには、適度の食感を保ちつつ、10回以上振ると缶から出てくるような「ゼリーの硬さ」や、型崩れなく食感を保つ「ナタデココの投入方法」を工夫するなど、試行錯誤を重ねたという。
苦労の甲斐あって、発売からこれまで、売り上げは右肩上がり。直近4年間の平均伸長率は150%、発売から5年で年間販売数量は4.8倍になる見込みだ。今年は「グレープ」と「マンゴー」の2フレーバーを展開しているが、これまでの売り上げや消費者からの声を勘案して、今年は「在庫過多のリスクを恐れず」に発売前から大量に作りためたという。
同社の主な販路は、自動販売機。「2つの食感グレープソーダゼリー」は、JR東日本の駅ホームや構内にある自販機でも販売されている。同製品の自販機1台あたりの販売数量は、全商品の平均値を大きく上回っているといい、この新時代の飲料の勢いはまだまだとどまりそうにない。