手のひらサイズの「豆判」も
そんな経緯もあり、今回の春画展のキャッチコピーは、「世界が、先に驚いた。」。出品作品は、大英博物館の所蔵品などヨーロッパからの里帰り作品が19点、日本国内(国際日本文化研究センター、立命館大 、公益財団法人東洋文庫、三井記念美術館、岡田美術館、林原美術館、永青文庫、個人コレクター所蔵など)から102点。このうち67点は大英博の春画展でも展示された作品だ。出品作の多くは版画だが、筆遣いや色合いが生々しい「肉筆」も38点展示される。全体を「プロローグ」「肉筆の作品」「版画の傑作」など5章に分けて紹介する。
日本の「春画」の歴史は古く、平安時代にさかのぼり、鎌倉時代に製作されたものも現存している。今回展示される「稚児之草紙」などは、鎌倉時代の作品をほうふつさせるものだという。珍しいところでは室町時代に製作された「勝絵絵巻」や、江戸時代に流行った、手のひらサイズの「豆判」も展示される。「豆判」は携帯可能で所有者が互いに見せ合ったりしていたのではないかという。
会場の永青文庫は1950(昭和25)年、細川家に伝来する歴史資料や美術工芸品を後世に伝える目的で財団法人として設立された。73年に博物館登録され、毎年、4つの会期に分けて所蔵品などを公開展示している。今回のような大規模展の会場になるのは異例で、かなりの混雑が予想される。
細川理事長は「永青文庫は規模も小さく、至らないところの多い施設ですが、春画展開催への皆様の情熱と意義に応えて、及ばずながら、ご協力したいと考えた次第です」とコメントしている。
永青文庫は東京メトロ有楽町線護国寺駅から徒歩15分。入館料は大人1500円。高齢者・学生・団体などの割引や、チケットの前売りはない。