遠洋練習航海が作品に大きな影響
ニコライ・リムスキー=コルサコフは、5人組の中では最年少のメンバーでした。貴族の家系に生まれ、海軍兵学校へ進んだエリート軍人でした。同時に小さいころからピアノを習っていたので、音楽の素養もあり、兵学校時代に、バラキレフの作ったグループに参加します。しかし、海軍士官候補生は、遠洋練習航海の義務があり、3年弱、故郷ロシアを離れて海の上に出ます。グループから離れていたため、作曲に対するスタンスは次第に冷めたものになったようですが、この航海中訪れた、ヨーロッパ諸国や南北アメリカの光景は、北の国しか知らなかったリムスキー=コルサコフに強烈な印象を残し、その後の作品に大きな影響を与えます。
遠洋航海から戻った彼は、5人組のリーダー、バラキレフに再会して作曲活動を始めました。そして、海軍に席を置いたまま、サンクト・ペテルブルグ音楽院の教授として迎えられます。しかし、海軍兵学校あがりのリムスキー=コルサコフは作曲の正規教育をうけたことなどまるでなく、これではいけないと、軍隊を除隊し、作曲やオーケストレーションを猛勉強しながら教える、という立場になりました。音楽の黎明期にあったロシアならではのエピソードです。