東日本大震災や東京電力福島第1原発事故で出た放射性物質を含んだ廃棄物の処理が新たな段階に入っている。中間貯蔵施設には廃棄物の搬入が始まっているが、運び込まれた廃棄物を単に「貯蔵」するだけではすぐにすぐに容量がひっ迫してしまう。そこで必要なのが、焼却するなどして体積を減らす「減容化」と呼ばれる手順だ。焼却にはいくつか方法があり、その特徴に応じて方法を選ぶことが必要になりそうだ。
農業系廃棄物は燃やすと体積が10分の1程度になる
中間貯蔵施設は、福島第1原発を囲む形で福島県の大熊町と双葉町にまたがる約16平方キロメートルの用地を国が買い取るなどして建設が進んでいる。2015年2月には建設が始まり、3月には汚染土の試験的な搬入も始まった。貯蔵施設に保管できる廃棄物の量は最大2200万立方メートルで、限りある容量を効率よく使うことが重要だ。特に「稲わら」「牧草」「堆肥」「きのこ原木」といった農業系廃棄物は燃やすと体積が10分の1程度になるとされ、貯蔵施設で貯蔵する前に焼却することが不可欠だ。
15年7月15日に都内で開幕した「環境放射能対策・廃棄物処理国際展」(RADIEX2015)でも、中間貯蔵施設の動向がクローズアップされた。国立研究開発法人国立環境研究所の大迫政浩氏は
「200トンの炉で年に250日稼働させて、それを3~5年で処理するとすれば、それだけ考えても仮設焼却炉は数十基必要になる。ですから中間貯蔵(施設)に仮設焼却炉がずらーっと並ぶイメージ」
と話し、中間貯蔵施設には数十基の焼却炉建設が必要だとの見方を示した。