もっとも有名で人々に愛されているショパン幻想作品
ベルリオーズと同じ1800年代の前半にパリで活躍したピアノの詩人、ショパンは、ほとんどピアノ作品しか作曲しませんでした。純粋な管弦楽作品は作っていませんし、協奏曲においてもオーケストラパートはあまり緻密に書き込まれておらず、室内楽作品も数えるほどですから、文字通り「ピアノを愛した作曲家」です。彼の作品は、「ソナタ」「練習曲」「前奏曲」「円舞曲(ワルツ)」「夜想曲(ノクターン)」「ポロネーズ」「マズルカ」「バラード」「スケルツォ」と、曲の形式と番号をタイトルにしたものが多く、曲に言葉で固有の題名をつけることを好みませんでした。
ショパンも「幻想曲」を1曲書いています。そのほかに、幻想ポロネーズと、今日の1曲、幻想即興曲と、合計3曲の、「幻想」のタイトルをもつピアノ曲を作っています。その中で、もっとも有名かつ人々に愛されているのが「幻想即興曲」であるのは間違いないでしょう。クラシックの音楽会で演奏されるのみならず、他のジャンルのミュージシャンもオマージュ作品を数多く生み出していますし、CMや、フィギュアスケートの伴奏曲としてつかわれることも多く、ショパンの作品の中で、夜想曲第2番とこの曲が知名度で東西の横綱だな...と感じるぐらい、親しまれている曲です。