■ショパン「幻想即興曲」
先週は、フランスの作曲家、ベルリオーズの怪作「幻想交響曲」をとりあげましたが、今週は幻想つながりで、ポーランド人ですが同じフランスで活躍したショパンの有名曲「幻想即興曲」の登場です。
「その他」として分類されるような形式
クラシック音楽における「幻想」や「幻想曲」―英語やフランス語の原題では「ファンタジー」となりますが―とは、古典派の時代からあった曲の形式です。ソナタやロンドや変奏曲といった曲の構造から名づけることもできず、かといって、メヌエットやワルツのように舞曲の形式もとっていない、非常に自由なスタイルで書かれた曲、つまり「その他」として分類されるような形式の曲に、しばしば作曲家が「幻想」のタイトルをつけてきました。さらに、ロマン派の時代は、文学においても「幻想文学」が流行したので、音楽の世界においても幻想、というタイトルを持つものが増えています。従来の形式に縛られないジャンル、と言い換えてもいいでしょう。ベルリオーズの幻想交響曲は、特異なストーリーの内容が幻想的、とも言えますし、交響曲というスタイルからの脱線具合が「幻想」と解釈することもできる...。とにかく斬新なことに対して「幻想」とつけたのではないかと思われます。