問題設定、意思決定、結果責任の3つは人間の領域
本書によれば、これまでの科学の発展の歴史の中で、膨大なデータの中から法則を見出せたのは例えばニュートン、アインシュタインといった一握りの「天才」だけだということである。他方、今後はこうしたデータ分析は、ますます進化を続ける学習型のマシン(本書では将棋の対戦マシンを例に挙げている)に委ねられ、それが科学の発展に新たな道筋をもたらすとしている。また、本書は、人間とマシンとの新しい付き合い方についても言及しており、データを分析して提言を見いだすマシンがどんなに進化したとしても、人間がやらなければいけないことが3つあるとしている(逆にいえば、それ以外の領域はどんどんマシンのほうが優秀になる)。それは、「問題を設定すること」、「前進する意思決定をすること」、「結果に責任をとること」である。まだまだ人間の領域があるとする本書に安堵しつつ、私が職場で世話になっているマシンといえばノートPCとプリンタ程度でしかないが(それでも相当世話にはなっている)、ピーター・ドラッカーが言うところの「知識労働」に従事する者として、今後のマシンとの付き合い方について考えさせられた一冊であった。
銀ベイビー 経済官庁 Ⅰ種