日本の「10秒の壁」はいつ破られるか
陸上競技100メートルの日本記録は伊東浩司選手が1998年に記録した10秒00。まだ10秒の壁は破られていない。今年3月(2015年)、東洋大学の桐生祥秀選手(19)が米国テキサス州で9秒87を出したが、追い風参考のため公認記録にならなかった。
『10秒の壁―「人類最速」をめぐる百年の物語』(著・小川勝、756円、集英社)は、一瞬を競う「人類最速」の男たちの挑戦と幾多のドラマを描く。
人類が初めて10秒の壁を破ったのは1968年、米国のハインズ、スミス、グリーンの3人が記録した9秒9だった。西独のハリーの10秒0以来8年ぶりだった。記録はいかにして破られたのか。天才アスリートの出現はもちろん、ルールの変更、テクノロジーの進歩、競技を支えた舞台裏など様々な要素が存在する。この先、人類最速のレベルはどこまで進化していくのか。