自閉症者の心の内を教えてくれた世界的ベストセラー

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自閉症の謎を自ら解説

   多くの自閉症の子ども達は、自分の気持ちを表現する手段を持たず、両親ですら、自分の子どもが何を考えているのか分からないことも多い。著者は、本書で、自閉症者の行動の理由を教えてくれる。

「僕が自閉の謎を説明することで、僕たちの障害が、決してわがままや自分勝手からきているものではないことを、みんなに理解してもらいたいのです。みんなが僕たちのことをわかってくれたなら、僕たちは一筋の光を手に入れることができるでしょう。どんなに苦しくても悲しくても、希望があれば頑張れます」

――大きな声はなぜ出るのですか?

「自分が話したくて喋っているわけではなくて、反射のように出てしまうのです。何に対する反射かというと、その時見た物や思い出したことに対する反射です。それが刺激になって、言葉が出てしまうのです。止めることは難しく、無理に止めようとすると、自分で自分の首を絞めるくらい苦しくなります」

――いつも同じことを尋ねるのはなぜですか?

「聞いたことをすぐに忘れてしまうからです。今言われたことも、ずっと前に聞いたことも、僕の頭の中の記憶としてはそんなに変わりはありません。記憶の仕方がみんなとは違うのです」
「みんなの記憶は、たぶん線のように続いています。けれども、僕の記憶は点の集まりで、僕はいつもその点を拾い集めながら記憶をたどっているのです」

――跳びはねるのはなぜですか?

「僕は跳びはねている時、気持ちは空に向かっています。空に吸い込まれてしまいたい思いが、僕の心を揺さぶるのです」
「体が悲しいことや嬉しいことに反応することです。縛られた縄をほどくように、ピョンピョン跳びはねるのです。跳べば、体が軽くなります。空に向かって体が揺れ動くのは、そのまま鳥になって、どこか遠くへ飛んで行きたい気持ちになるからだと思います」

――電車の時刻表やカレンダーをどうして覚えるのですか?

「僕たちは数字が好きなのです。時刻表やカレンダーは誰が見ても同じだし、決まったルールの中で表わされているのが分かりやすいのです。好きなことは、まるで向こうから僕の頭の中に入り込んでくるような感じで記憶できます」

【霞ヶ関官僚が読む本】現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で「本や資料をどう読むか」「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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