明治維新の実相~占領終了まで 歴史認識を学ぶ

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現代日本の民主主義は守られるか

   本書で著者は、日本の民主政治の系譜を丹念にたどっている。

   特に大正デモクラシーの成熟度を高く評価し、それが喪われ全体主義に傾斜していった理由を「端的に言えば、初めての民主政治だったから」とする。

   即ち、選挙の腐敗と汚職が横行し民心が政党政治から離れたとき、戦前日本には藩閥と軍部という選択肢があったが「この二つの期待が惨憺たる結果に終わり、もう他の選択肢はもっていないという意味で、現代の日本の民主政治は安定している」とする。

   確かに、自衛隊への信認が高まりつつあるとはいえ、軍閥支配を求める民意は生じるべくもない。情報化社会における政治・行政の透明性確保の要請も止まるところを知らず、戦前のような構造的な腐敗汚職は生じにくかろう。

   それにしても腐敗が政治不信を増進させ全体主義に至ったとの分析に直面すると、行政官の一人として、法執行の厳正さを維持する制度的意義を再確認させられ、襟を正す思いである。

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